クリーンルームの管理
クリーンルームの管理
クリーンルームに塵埃を持ち込まない、クリーンルーム内で塵埃を発生させない、発生した塵埃を速やかに排除する、クリーンルーム内に塵埃を堆積させないことが管理上のポイントです。
これを「クリーンルームの4原則」といいます。

塵埃対策
クリーンルームの清浄度維持の為には、最大の発塵原となる人体からの発塵を抑えなければなりません。
POINT1
身体からの発塵を防止
クリーンルーム内に入る時はクリーンスーツ等の発塵しない衣服を着用して、フード、マスク、手袋、ブーツ等を着用し、身体からの発塵を防止します。首もとからの発塵には特に注意が必要です。手からの発塵も多いので、手洗及びアルコール消毒を励行します。手袋を二重に装着する場合もあります。
更衣室の中でクリーンスーツを着用したら、クリーンルーム用粘着ローラー等を使ってクリーンスーツに付着している塵を除去することもクリーンルームに塵を持ち込まなくする対策としては有効です。
POINT2
清浄度に合わせたクリーンスーツを
クリーンスーツはクリーンルームの清浄度に合わせた物を選定します。一部のクリーンスーツは菌を通してしまいますので、選定には注意が必要です。

POINT3
手順を決める
出入口に手洗い器、アルコール消毒器、インターロックの付いたエアシャワーを設けることにより、決められた手順で入場できるようになります。
出入口に粘着マットや足裏洗浄器を設置することもクリーンルームに塵を持ち込まなくする対策としては有効です。
- エアシャワーで身体に付着した塵を除去して、クリーンルームに入ります。
- エアシャワー内では腕を上げて身体を2~3回転し、エアシャワーを浴びます。
- エアシャワーのシャワーリング時間は一般的に15~20秒程度です。
- マット物品の出し入れは大型の物品搬入用エアシャワーかパスボックスを使用します。
いずれもインターロック付きの二重ドアとなっており、外部からの塵埃の侵入を防止し、クリーンルーム内にかかっている陽圧の清浄空気を逃さないようにします。



POINT4
外部からの持ち込みは要注意
外部からクリーンルーム内に持ち込む物品は純水等で拭くようにします。
発塵源となる段ボール箱の持ち込みは避け、書類等紙類の持ち込みにも注意が必要です。
製品や作業員に塵を付着しにくくする静電気対策としては、除電器の使用、内部設備・容器等に導電性の高い帯電防止材料の採用、高めの湿度設定(60%以上)といった対策があります。
クリーンルーム内の管理
クリーンルーム内の塵の成分を調べると、女性の化粧品が出てくることがあります。
クリーンルーム内の作業員には、特別な教育や注意が必要な場合があります。
クリーンスーツを着用していても人体からは発塵します。歩行時、作業時には特に多くの発塵が観測されます。気流の上流、下流を意識し、製品等清浄度維持が一番必要な物品はクリーンルーム内の給気口→対象物品→作業員→排気口の順で並ぶように常に配置や動線に配慮することも必要です。クリーンルーム内にパーティクルカウンターを設置し、空気清浄度を常時監視するケースもあります。


清掃
クリーンルーム内の清掃は発塵の少ないクリーンルームワイパーや合成皮革(プラスセーム)と純水、クリーンルーム用真空掃除機などで行います。各種装置の上、壁、天井、床等部分別に一日一回終業時清掃等、周期を決めて実施することが有効です。
また、菌対策としては、エタノールによる天井、壁、床の拭き上げも有効です。



クリーンルーム運転管理
設置当初の温湿度が出なくなった場合や、クリーンルームの空調機から異音が出た場合はクリーンルーム業者か空調機メンテナンス会社に連絡をとり、診断・修理を依頼します。
クリーンルームの室圧は通常10~15パスカルですが、HEPAフィルタや外気処理ユニットに使用するプレフィルタ、中性能フィルタがつまると風量が落ちて室圧が下がります。この場合、空気清浄度維持が困難となりますのでフィルタの交換が必要です。
クリーンルーム業者かエアフィルターメンテナンス業者等に依頼してHEPAフィルタ、中性能フィルタは交換、プレフィルタは交換・洗浄を実施して下さい。

